日商簿記検定の概要
企業の経営活動を記録・計算・整理し、その企業の経営成績と財政の状態を明確にするにするのが簿記の仕事です。
簿記の能力を測るために「簿記検定」が存在しますが、簿記検定には「日商」「全経」「全商」の3種類があります。
3つの簿記検定の中でも最もポピュラーな日商簿記検定は、日本商工会議所と各地商の工会議所が主催しているもので、1級から3級までがあります。
基本的な商業簿記の知識を必要とする仕事であれば3級でも十分です。
3級試験では仕訳や帳簿の記帳、財務諸表など、業種や職種のこだわらない基本的な知識があるかどうかが問われます。
簿記2級に合格するためには商業簿記に加えて工業簿記の知識も持ち合わせていなければなりません。
製造業に適用される工業簿記については、ものづくりにかかわる原価計算などの知識も必要になってきます。
日商簿記検定の試験内容と難易度
日商簿記3級試験は年に3回行われており、受験料は2,850円(税込)です。
申し込み受け付け日時や申し込み受け付け方法は各商工会議所によって異なりますので、試験日の約2ヶ月前には受験を希望する場所の商工会議所に詳細を問い合わせておくことをおすすめします。
試験時間は60分で、正解率が70%以上が合格基準となっています。
簿記2級試験も年に3回開催され、受験料は4,720円です。
試験内容は「商業簿記」と「工業簿記(原価計算を含む)」で、試験時間は90分となっています。
財務諸表の数字を読んでその企業の経営内容を把握できるかなど、適切な処理や分析を行うことができるかどうかを問われます。
簿記1級の試験が行われるのは年に2回、受験料は7,850円となっています。
1級の試験内容・時間は「商業簿記」と「会計学」が90分、「工業簿記」と「原価計算」90分の計180分で、途中に休憩が入ります。
3級の合格率は例年40〜50%、2級が15~30%で、1級となると合格率はわずか10%ですから、難易度の高い検定試験と言っていいでしょう。
合格率10%というのは、一級建築士や行政書士などの国家試験と同じぐらいの難易度ですので、十分に勉強して臨む必要があります。
なお、日商簿記検定にはこの他に「簿記初級」「原価計算初級」もあります。
日商簿記検定を取得するメリット
企業の中には日商簿記検定3級合格を必須条件にしているところもありますので、大学生のうちに受験をしておけば就職の際にかなり有利に働きます。
日商簿記検定の年間受験者数は52万人と非常に多く、社会的にも信頼性が非常に高いと言えるでしょう。
簿記1級試験に合格すると、税理士試験の受験資格が与えられるだけではなくて、職業能力開発促進法の指導員資格試験において事務科の試験科目の一部が免除されるという特典もあります。